微分せずに相加相乗平均の関係から最小値を求める練習

この記事の所要時間: 545

相加平均と相乗平均の関係

(相加平均)≧(相乗平均)

a, b, c>0として,

(1) \begin{equation*} \frac{a+b}{2}\geqq \sqrt{ab} \end{equation*}

等号成立はa=bのとき.

(2) \begin{equation*} \frac{a+b+c}{3}\geqq \sqrt[3]{abc} \end{equation*}

等号成立はa=b=cのとき.

相加平均と相乗平均には上のような大小関係があります. この式を変形した以下の形が重要です.

(3) \begin{equation*} a+b\geqq 2\sqrt{ab} \end{equation*}

(4) \begin{equation*} a+b+c \geqq 3\sqrt{abc} \end{equation*}

この性質を使って解く問題を解いてみましょう.

練習問題

問題

次の式の最小値とそのときのxの値を求めなさい. (x>0とする.)

(1) \displaystyle 3x+\frac{1}{12x}

(2) \displaystyle x^3+\frac{1}{x}+\frac{1}{x^2}

(3) \displaystyle \left(x+\frac{4}{x}\right)\left(x+\frac{9}{x}\right)

(4) \displaystyle x^2+\frac{1}{x}

解答

(1) これは形を当てはめるだけで,

(5) \begin{eqnarray*} 3x+\frac{1}{12x} &\geqq& 2\sqrt{3x\cdot\frac{1}{12x}}\\ &=& 2\sqrt{\frac{1}{4}}\\ &=&1 \end{eqnarray*}

よって最小値は\displaystyle\frac{1}{2}でそのとき\displaystyle 3x=\frac{1}{12x}より, \displaystyle x=\frac{1}{6}.

(2) これは3項の例です.

(6) \begin{eqnarray*} x^3+\frac{1}{x}+\frac{1}{x^2} &\geqq& 3\sqrt[3]{x^3\cdot\frac{1}{x}\cdot\frac{1}{x^2}}\\ &=& 3\sqrt[3]{1}\\ &=& 3 \end{eqnarray*}

よって最小値は3で, そのとき\displaystyle x^3=\frac{1}{x}=\frac{1}{x^2}より, x=1.

(3) これは間違いやすい例です. まず, 正しい答えから.

(7) \begin{eqnarray*} \left(x+\frac{4}{x}\right)\left(x+\frac{9}{x}\right) &=& x^2+13+\frac{36}{x^2}\\ &=& x^2 + \frac{36}{x^2}+13\\ &\geqq& 2\sqrt{x^2\cdot\frac{36}{x^2}}+13\\ &=&  12+13\\ &=& 25 \end{eqnarray*}

よって最小値は25で, そのとき\displaystyle x^2=\frac{36}{x^2}より, x=\sqrt{6}.

次に, よくある間違った解答.

左と右の括弧の中をそれぞれ考えて,

(8) \begin{equation*} x+\frac{4}{x}\geqq 2\sqrt{x\cdot\frac{4}{x}}=4 \end{equation*}

(9) \begin{equation*} x+\frac{9}{x}\geqq 2\sqrt{x\cdot\frac{9}{x}}=6 \end{equation*}

なので, 最小値は4\times 6=24.

この間違った解答について, 等号成立の条件を調べてみると, \displaystyle x+\frac{4}{x}=4となるのはx=2のときで, \displaystyle x+\frac{9}{x}=6となるのはx=3のときです. つまり, 左と右の括弧の中身が同時に最小となることがないのが分かります. なので, 与えられた式が24という値をとることはできません. 積の形は展開してから公式に当てはめましょう.

(4) これは一見2項に見えますが, 2項の公式に当てはめると

(10) \begin{eqnarray*} x^2+\frac{1}{x}&\geqq& 2\sqrt{x^2\cdot\frac{1}{x}}\\ &=& 2\sqrt{x} \end{eqnarray*}

となり, xが残ってしまいます.

微分を習っていればxで微分して, 増減表を書いても答えにはたどり着けますが, ここでは上手く3項の相加相乗平均の関係を利用します.

(11) \begin{eqnarray*} x^2+\frac{1}{x} &=& x^2 + \frac{1}{2x} + \frac{1}{2x}\\ &\geqq& 3\sqrt[3]{x^2\cdot\frac{1}{2x}\cdot\frac{1}{2x}}\\ &=& 3\sqrt[3]{\frac{1}{4}}\\ &=& \frac{3}{\sqrt[3]{4}} \end{eqnarray*}

よって, 最小値は\displaystyle\frac{3}{\sqrt[3]{4}}で, そのとき\displaystyle x^2=\frac{1}{2x}より, \displaystyle x=\frac{1}{\sqrt[3]{2}}.

このように, 相加相乗平均の関係を上手く使えば, (4)の問題のように, 微分をしなくても簡単に最小値を求められる場合があります.

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