2016 と 28 の共通点~完全数について

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2016 と 28 の共通点

今年は西暦 2016 年, そして平成 28 年ですが, この二つの数 2016 と 28 には共通点があります. それぞれ, 以下のように書くことができます.

\(2016=32\times 63=2^5\times(2^6-1)\)

\(28=4\times 7=2^2\times(2^3-1)\)

右辺が似た形になっています. 分かりやすくするために, \(P_n=2^{n-1}\times(2^n-1)\)とおくと, \(2016=P_6\), \(28=P_3\)と書くことができます.

実はこの \(P_n\) は数学的に意味を持った式で, 完全数と呼ばれる数に関係があります.

完全数とは

完全数とは, ある自然数 \(n\) で, その正の約数の総和が \(2n\) となるもののことを言います. 小川洋子さんの『博士の愛した数式』に出て来たので, 知っている人もいるかもしれません.

分かりにくいので例を挙げると,

6の約数の和は

\(1+2+3+6=12=2\times 6\)

28の約数の和は

\(1+2+4+7+14+28=28=2\times 28\)

496の約数の和は

\(1+2+4+8+16+31+62+124+248+496=992=2\times 496\)

となるので, 6, 28, 496 はいずれも完全数です.

これらはすべて偶数ですが, 完全数で奇数のものは存在するかどうかも知られていません(もし奇数の完全数を発見したら大発見です). なので, ここでは偶数の完全数について書きます.

偶数の完全数については次のような性質があることが知られています.

1. \(M_n=2^n-1\) が素数であるとき, \(P_n=2^{n-1}M_n=2^{n-1}(2^n-1)\) は完全数である.

2. 偶数の完全数はすべて1. の形をしている.

1. はユークリッドによって, 2. はオイラーによって証明がなされています. (参考までにこの記事の最後に証明を載せておきます). また, 1. にでてくる \(M_n=2^n-1\) の形をした素数にはメルセンヌ素数という名前が付いています.

実際, 上の例を見ると, \(6=P_2\), \(28=P_3\), \(496=P_5\) となっていて, それぞれについて \(2^n-1\) の値は \(4-1=3\), \(8-1=7\), \(32-1=31\) とすべて素数になっていることが分かります. この性質から, \(P_n\) と完全数は重要な関係性があることが分かります.

ちなみに, 28は上の例でも示した通り完全数ですが, \(2016=P_6\) については \(2^6-1=63=3^2\times 7\) と素数でないので, 残念ながら完全数ではありません.

さらに偶数の完全数には次のような性質もあります.

6 以外の偶数の完全数は, 奇数の立方和で表される.

これも例を見ると分かりやすいです.

\(28=1+27=1^3+3^3\)

\(496=1+27+125+343=1^3+3^3+5^3+7^3\)

\begin{align*}
8128&=1+27+125+343+729+1331+2197+3375\\
&=1^3+3^3+5^3+7^3+9^3+11^3+13^3+15^3
\end{align*}

これは, \(n\) が偶数のとき \(2^n-1\) が 3 の倍数となるので, \(n=2\) の場合を除いて \(P_n\) が完全数とならない, つまり, 6 以外の偶数の完全数 \(P_n\) について \(n\) は奇数である, ということを用いれば簡単に示すことができます.

おまけ(完全数の性質 1, 2 の証明)

1. \(2^n-1\) が素数のとき, \(P_n=2^{n-1}(2^n-1)\) の約数の総和は, 約数の和の公式を用いれば,

\((1+2+\cdots+2^{n-1})\{1+(2^n-1)\}=(2^n-1)2^n=2P_n\).

2. \(2^n\) の形の数は, 約数の和が \(1+2+\cdots+2^n=2\cdot 2^n-1\) となり完全数でないから, 偶数の完全数は \(2^nN\) (\(N\)は奇数)と書けることになります. このとき, 約数の和は

\(S(2^nN)=S(2^n)S(N)=(2^{n+1}-1)S(N)\)

となります. 一方, 完全数の定義から約数の和は \(S(2^nN)=2\times 2^nN=2^{n+1}N\) とならなければいけないので,

\((2^{n+1}-1)S(N)=2^{n+1}N\)

となります. ここで, \(M=2^{n+1}-1\) とおきなおすと,

\(M\cdot S(N)=(M+1)N\)

\begin{align}
\therefore S(N)&= \frac{1}{M}(M+1)N\\
&= N+\frac{N}{M} \tag{1}
\end{align}

すると, \(\displaystyle \frac{N}{M}\) は自然数となるはずなので, \(\displaystyle \frac{N}{M}=a\) とおくと,

\begin{align}
S(N)=N+a \tag{2}
\end{align}

ここで, \(a\geqq 2\) と仮定すると, \(N=aM\) より, \(N\) は少なくとも \(1, a, aM\) を約数としてもつので

\begin{align}
S(N) &\geqq 1+a+aM\\
&= 1+a+N \tag{3}
\end{align}

(2)と(3)は矛盾しているので, 仮定が誤りで \(a=1\) となる.

このとき, \(S(N)=N+1\) より \(N\) は素数で, \(N=M=2^{n+1}-1\).

よって, 完全数は \(2^n(2^{n+1}-1)\) と書ける.

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