ペル方程式を利用する問題の例

この記事の所要時間: 534

ペル方程式とは

今回の記事では, 前回書いたペル方程式を用いるの実際の問題例を説明します.

ペル方程式は以下のようなものでした.

ペル方程式 : x^2-Dy^2=1

但し, Dは自然数の定数.

また, ペル方程式は解について次のような性質がありました.

1. x^2-Dy^2=1の自然数解のうち, xの値が最小である解を(x_1, y_1)とおくとき, 次のように自然数x_n, y_n(n=2, 3, \cdots)を定めると(x_n, y_n)もまた方程式の解である

x_n+y_n\sqrt{D}=(x_1+y_1\sqrt{D})^n

2. ペル方程式の解はすべて1. によって得られる

詳しくは前の記事「ペル方程式とは」を見てください.

ペル方程式を用いる問題の例

ペル方程式とその解き方の例は前回の記事で説明したので, 実際の問題の例を解いてみます.

問題. Aさんは毎日折り紙で鶴を折るのですが, 1日目には1つ, 2日目には2つ, 3日目には3つ, そしてn日目にはn個折るものとします. 折った鶴は前日までに折ったものと合わせて, できるだけ正方形になるように並べていきます. 

では, N日目までに折った鶴がちょうど一辺がMの正方形に並べられるような(N, M)の組を3つ求めてください. 

N日目までに折る鶴の数は

\displaystyle 1+2+\cdots+N=\frac{1}{2}N(N+1)

また, 一辺Mの正方形に並べると M^2なので,

\displaystyle \frac{1}{2}N(N+1)=M^2

という方程式が求まり, この方程式の自然数の解を求めればよいことが分かります.

まず, この方程式を変形してペル方程式の形にします.

両辺に8を掛けて,

4N^2+4N=8M^2

(2N+1)^2-1=8M^2

(2N+1)^2-8M^2=1

x=2N+1, y=2Mとおきなおすと,

x^2-2y^2=1

となり, ペル方程式に帰着されました.

但し, x=2N+1, y=2Mなので, xが奇数でyが偶数の解を求めると, そこから(N, M)の組が求まります.

ところで, これの解は前回の記事で求まっているので引用して,

最小解は(x, y)=(3, 2)

また, 他の解は(3+2\sqrt{2})^n=x+y\sqrt{2}から求めて

(x, y)=(17, 12), (99, 70), \cdots

さて, これらはすべてxが奇数, yが偶数となっていますが, 実は今回の場合はすべての解についてxが奇数, yが偶数となることが帰納法で証明できます.

この(x, y)=(3, 2), (17, 12), (99, 70)からN, Mを求めると,

(N, M)=(1, 1), (8, 6), (49, 35)となります.

最後に

今回の問題ではペル方程式に帰着できましたが, 一般に2次不定方程式ax^2+bxy+cx^2+dx+ey+f=0の”多く”は, ペル方程式に似た次の形に帰着できます.

(1) \begin{equation*} x^2-Dy^2=n \end{equation*}

但し, Dnは自然数.

ただし, この右辺のnが1でないときは, この方程式は必ずしも解をもたないことが分かっています.

解をもつ場合については, その最小解を (x_1, y_1) とし, x^2-Dy^2=1 の最小解を (x_0, y_0) とすると, x_n+y_n\sqrt{D} = (x_1+y_1\sqrt{D})(x_0+y_0\sqrt{D})^{n-1} によってすべての解が得られます.

追記.

(2) \begin{equation*} ax^2+bxy+cy^2+dx+ey+f=0 \end{equation*}

の形をした方程式の”多く”がペル方程式に似た(1)の方程式に帰着できることについて補足します.

すべての場合で帰着できるわけではなく, ここではa, c\neq 0, 4ac<b^2, (4ac-b^2)(-d^2+4af)<(2ae-bd)^2とします.

(2)の方程式の左辺に4aを掛けてxについて平方完成すると,

(3) \begin{equation*} (2ax+by+d)^2+(4ac-b^2)y^2+(4ae-2bd)y-d^2+4af=0 \end{equation*}

さらに, この両辺に4ac-b^2を掛けて, 残りの部分をyについて平方完成すると,

\begin{eqnarray*} (4ac-b^2)(2ax+by+d)^2+\{(4ac-b^2)y+2ae-bd\}^2\\+(4ac-b^2)(-d^2+4af)-(2ae-bd^2)=0 \end{eqnarray*}

X=(4ac-b^2)y+2ae-bd, D=b^2-4ac>0, Y=2ax+by+d,  n=(2ae-bd)^2-(4ac-b^2)(-d^2+4af)>0とすると,

\begin{equation*} X^2-DY^2=n \end{equation*}

となります.

例.

(1) この記事の問題の例では,

N(N+1)=2M^2

に対して, x=2N+1, y=2Mとおくことで,

x^2-2y^2=1

となっています.

(2) 2x^2+4xy-3y^2-1=0

の場合, 両辺に2を掛けて平方完成すると,

(2x+2y)^2-10y^2-2=0

となり, X=2x+2y, Y=yとして

X^2-10Y^2=2

となります.

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『ペル方程式を利用する問題の例』へのコメント

  1. 名前: 投稿日:2016/07/13(水) 11:20:10 ID:fe72820fc 返信

    ペル方程式に似た次の形に帰着できます
    その例をいくつか提示願います

    • 名前:黒猫の三角 投稿日:2016/07/17(日) 10:39:44 ID:ee0521b1e 返信

      コメントありがとうございます.
      2次不定方程式のすべてがペル方程式に似た形に変形できるわけではないので, “多く”と訂正しました.
      追記として, 帰着できる例を示しました.

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