微分の公式の導出

この記事の所要時間: 941

微分の公式の導出

以前の記事で, 「微分の公式」を紹介したので, ここではその導出をします.

1. 積の微分                h(x)=f(x)g(x)  のときh^\prime(x)=f^\prime(x)g(x)+f(x)g^\prime(x)

2. 逆数の微分             h(x)=1/f(x)  のとき h^\prime(x) = -\dfrac{f^\prime(x)}{\{f(x)\}^2}

3. 商(分数型)の微分     h(x)=g(x)/f(x)  のとき h^\prime(x) = \dfrac{f(x)g^\prime(x)-f^\prime(x)g(x)}{\{f(x)\}^2}

4. 合成関数の微分        h(x)=g\circ f(x)=g(f(x))  のとき h^\prime(x) = g\prime(f(x))\cdot f^\prime(x)

5. 逆関数の微分           y = h(x)=f^{-1}(x)  のとき h^\prime(x) = \dfrac{1}{f^\prime(y)}

すべて導関数の定義から求まります.

1.積の微分

まず h(x) = f(x)g(x)を導関数の定義式に代入すると,

\begin{eqnarray*} h^\prime(x) &=& \lim_{k\to 0} \dfrac{h(x+k)-h(x)}{k}\\ &=& \lim_{k\to 0} \dfrac{f(x+k)g(x+k)-f(x)g(x)}{k} \end{eqnarray*}

となります. 極限をとるための文字は混乱を避けるため h ではなく k を使うことにします.

ここで, 「同じものを引いて足しても変わらない」ということを用いて, 右辺の分子から f(x+k)g(x) を引いて, 同じものを足して変形していきます.

\begin{eqnarray*} h^\prime(x) &=& \lim_{k\to 0} \dfrac{f(x+k)g(x+k) - f(x+k)g(x) + f(x+k)g(x) - f(x)g(x)}{k}\\ &=& \lim_{k\to 0}\left\{\dfrac{f(x+k)g(x+k)-f(x+k)g(x)}{k} + \dfrac{f(x+k)g(x)-f(x)g(x)}{k}\right\}\\ &=& \lim_{k\to 0}\left\{f(x+k)\cdot\dfrac{g(x+k)-g(x)}{k} + \dfrac{f(x+k)-f(x)}{k}\cdot g(x)\right\}\\ \end{eqnarray*}

さて, k\to 0のとき,

\begin{eqnarray*} f(x+k) &\to& f(x)\\ \dfrac{g(x+k)-g(x)}{k} &\to& g^\prime(x)\\ \dfrac{f(x+k)-f(x)}{k} &\to& f^\prime(x) \end{eqnarray*}

なので, (2つ目, 3つ目はそれぞれ導関数の定義式そのものになっています)

\begin{equation*} h^\prime(x) = f(x)g^\prime(x) + f^\prime(x)g(x) \end{equation*}

ここで使った, 「同じものを足して引く」という変形は, 高校数学ではあまり使いませんが, 大学の微積分ではよく使うテクニックです.

2. 逆数の微分

h(x) = \dfrac{1}{f(x)} を導関数の定義式に代入して通分すると,

\begin{eqnarray*} h^\prime(x) &=& \lim_{k\to 0}\dfrac{\frac{1}{f(x+k)} - \frac{1}{f(x)}}{k}\\ &=& \lim_{k\to 0} \dfrac{1}{f(x)f(x+k)}\cdot\dfrac{f(x)-f(x+k)}{k} \end{eqnarray*}

となります. ここで,

\begin{eqnarray*} \lim_{k\to 0} f(x+k) &=& f(x)\\ \lim_{k\to 0} \dfrac{f(x)-f(x+k)}{k} &=& \lim_{k\to 0} -\dfrac{f(x+k)-f(x)}{k}\\ &=&-f^\prime(x) \end{eqnarray*}

なので(ここでも2つ目の式は導関数の定義式を使って), h(x)の導関数は

\begin{eqnarray*} h^\prime(x) &=& \dfrac{1}{f(x)f(x)}\cdot \{-f^\prime(x)\}\\ &=& -\dfrac{f^\prime(x)}{\{f(x)\}^2} \end{eqnarray*}

3.商(分数型)の微分

h(x)=\dfrac{g(x)}{f(x)}=\dfrac{1}{f(x)}\cdot g(x) と2つの関数の積と見做すことができるので, 1. の積の微分公式を当てはめると,

\begin{eqnarray*} h^\prime(x) &=& \left\{\dfrac{1}{f(x)}\cdot g(x)\right\}^\prime\\ &=& \left\{\dfrac{1}{f(x)}\right\}^\prime g(x) + \dfrac{1}{f(x)}\cdot g^\prime(x) \end{eqnarray*}

\dfrac{1}{f(x)} の微分 \left\{\dfrac{1}{f(x)}\right\}^\prime = -\dfrac{f^\prime(x)}{\{f(x)\}^2} は 2. でわかっているので, 代入すると

\begin{eqnarray*} h^\prime(x) &=& -\dfrac{f^\prime(x)}{\{f(x)\}^2}\cdot g(x) + \dfrac{g\prime(x)}{f(x)}\\ &=& \dfrac{-f^\prime(x)g(x) + g^\prime(x)f(x)}{\{f(x)\}^2}\\ &=& \dfrac{f(x)g^\prime(x) - f^\prime(x)g(x)}{\{f(x)\}^2} \end{eqnarray*}

4. 合成関数の微分

ここでは厳密な証明ではなく, 考え方を説明します.

とりあえず h(x) = g(f(x)) を導関数の定義式に代入します.

\begin{equation*} h^\prime(x) &=& \lim_{k\to 0}\dfrac{g(f(x+k)) - g(f(x))}{k} \end{equation*}

ここで, y = f(x), \Delta y = f(x+k) - f(x) とおくと, f(x+k) = y+\Delta y なので,

\begin{equation*} h^\prime(x) = \lim_{k\to 0} \dfrac{g(y+\Delta y) - g(y)}{k} \end{equation*}

導関数の定義式のような形をつくりたいので,

\begin{eqnarray*} h^\prime(x) &=& \lim_{k\to 0} \dfrac{g(y+\Delta y)-g(y)}{\Delta y}\cdot\dfrac{\Delta y}{k}\\ &=& \lim_{k\to 0} \dfrac{g(y+\Delta y)-g(y)}{\Delta y}\cdot\dfrac{f(x+k)-f(x)}{k} \end{eqnarray*}

とすると,

k\to 0のとき \Delta y = f(x+k)-f(x)\to 0なので

\begin{eqnarray*} \dfrac{g(y+\Delta y)-g(y)}{\Delta y} &\to& g^\prime(y)\\ \dfrac{f(x+k)-f(x)}{k} &\to& f^\prime(x) \end{eqnarray*}

より,

\begin{equation*} h^\prime(x) = g^\prime(y)f^\prime(x) = g^\prime(f(x))f^\prime(x) \end{equation*}

逆関数の微分

h(x) = f^{-1}(x) の導関数は

\begin{equation*} h^\prime(x) =\lim_{k\to 0} \dfrac{f^{-1}(x+k) - f^{-1}(x)}{k} \end{equation*}

ここで, y=f^{-1}(x), \Delta y = f^{-1}(x+k)-f^{-1}(x) とおくと, f^{-1}(x+k) = f^{-1}(x)+\Delta y = y+\Delta y より, x+k = f(y+\Delta y).

よって, 分母の kf(y+\Delta y) - f(y) と書ける.

これを用いて,

\begin{eqnarray*} h^\prime(x) &=& \lim_{\Delta y\to 0} \dfrac{\Delta y}{f(y+\Delta y)-f(y)}\\ &=& \dfrac{1}{f^\prime(y)}\\ &=& \dfrac{1}{f^\prime(f^{-1}(x))} \end{eqnarray*}

スポンサーリンク
sub2
sub2
  • このエントリーをはてなブックマークに追加