名古屋大2016年度文系第3問

この記事の所要時間: 556

問題.

正の整数 n に対して, その (1 と自分自身も含めた) すべての正の約数の和を s(n) とかくことにする. このとき, 次の問いに答えよ.

(1) k を正の整数, p を 3 以上の素数とするとき, s(2^kp) を求めよ.

(2) s(2016) を求めよ.

(3) 2016 の正の約数 n で, s(n)=2016 となるものをすべて求めよ.

正の約数の和に関する問題です.

解答例.

(1).

2^kp の約数をすべて書き出すと,

\begin{equation*} 1, 2, 2^2, \ldots, 2^k, p, 2p, 2^2p, \ldots, 2^kp \end{equation*}

となるので, 和を求めると,

\begin{eqnarray*} s(2^kp) &=& 1+2+2^2+\cdots+2^k\\ & & \quad + p+2p+2^2p+\cdots+2^kp\\ &=& (1+2+2^2+\cdots+2^k)(1+p)\\ &=& (2^{k+1}-1)(p+1) \end{eqnarray*}

となります.

(2).

2016 を素因数分解すると,

\begin{equation*} 2016 = 2^5\times 3^2\times 7 \end{equation*}

なので,

\begin{eqnarray*} s(2016) &=& (1+2+2^2+\cdots+2^5)(1+3+3^2)(1+7)\\ &=& 63\times 13\times 8\\ &=& 6552 \end{eqnarray*}

となります.

(3).

2016 の約数は

\begin{equation*} n = 2^a\times 3^b\times 7^c \end{equation*}

(0\leqq a\leqq 5, 0\leqq b\leqq 2, 0\leqq c\leqq 1)

と書けます.

このとき, n の正の約数の和は

(1) \begin{equation*} s(n) = (1+2+\cdots+2^a)(1+\cdots+3^b)(1+\cdots+7^c) \end{equation*}

となります.

ここで,

\begin{equation*} 1+2+\cdots+2^a = 2^{a+1}-1 \end{equation*}

は奇数なので,

式 (1) が2016になるには, 残りの部分 ((1+\cdots+3^b)(1+\cdots+7^c)) が 2^5 の倍数になる必要があります.

b = 0, 1, 2 のとき 1+\cdots+3^b の値はそれぞれ

\begin{equation*} 1, \,1+3 = 4, \, 1+3+9 = 13 \end{equation*}

また, c = 0, 1 のとき 1+\cdots+7^c の値はそれぞれ

\begin{equation*} 1, \, 1+7 = 8 \end{equation*}

になります.

すると,

(1+\cdots+3^b)(1+\cdots+7^c)2^5 の倍数になる組合せは, b = c = 1のみであることが分かります.

このとき,

\begin{eqnarray*} s(n) &=& (2^{a+1}-1)\cdot 4\cdot 8\\ &=& 32(2^{a+1}-1) \end{eqnarray*}

で, これが 2016 = 2^5\times3^2\times 7 = 32\cdot 63 と一致するのは a=5 のときです.

したがって, s(n)=2016 となる 2016 の約数 n は,

\begin{eqnarray*} n &=& 2^5\times 3\times 7\\ &=& 672 \end{eqnarray*}

解説.

正の約数の和について

自然数 n

\begin{equation*} n = p_1^{q_1}p_2^{q_2}\cdots p_N^{q_N} \end{equation*}

と素因数分解できるとき, (p_1, \ldots, p_N は異なる素数)

その正の約数の和 s(n)

\begin{eqnarray*} s(n) &=& (1+p_1+\cdots+p_1^{q_1})(1+p_2+\cdots+p_2^{q_2})\\ & & \quad \cdots(1+p_N+\cdots+p_N^{q_N}) \end{eqnarray*}

で求まります.

(1)は具体的な数値の計算ではないので, 一応正の約数を書き出して足しましたが, (2) ではこの公式を当てはめています.

2016 は完全数のなりそこね?

(おそらく) この問題の背景にあるのは, 完全数です.

完全数というのは, 正の約数の和がその数自身のちょうど2倍になる整数のことをいいます.

たとえば, 6, 28, 496 などが挙げられますが, これらはすべて

\begin{equation*} P_n = 2^{n-1}(2^n-1) \end{equation*}

の形をしています (6, 28, 496 ではそれぞれ n = 2, 3, 5).

一方, 2016 = P_6 は問題の(2) からわかるように, 完全数ではありません.

これは, 2^n-1 の部分が素数になっていない (2^6-1=63=3^2\cdot 7) からなのです.

2^n-1 の部分が素数であれば完全数になることは, 上の問題の(1)から簡単に確かめられます.

(詳しくは「2016と28の共通点」を見てください. )

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