制限付きの最大値(自作問題22)

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問題.

1 辺の長さが x の立方体と 1 辺の長さが y の正四面体を考える. 2 つの立体の体積の和が 1 となるように x, y を変化させるとき, 2 つの立体の表面積の和が最大となるときの 2 つの立体の体積比を求めよ.

自作問題の22 番の解答, 解説をします.

まず, 1 辺が x の立方体の体積は x^3, 表面積は 6x^2 です.

1 辺が y の正四面体の体積は \frac{\sqrt{2}}{12}y^3, 表面積は \sqrt{3}y^2 になります.

(今回はこの部分の導出は省きます. )

すると, 問題は条件

\begin{equation*} x^3+\frac{\sqrt{2}}{12}y^3=1 \end{equation*}

のもとでの表面積の和

\begin{equation*} S=6x^2+\sqrt{3}y^2 \end{equation*}

を最大とする x, y を求めることになります.

さて, 今回は2通りの解法を紹介していきます.

1 つ目の方法では, 条件式を x について解いて, S の式に代入することで, 条件のない問題にします. この方法だとどうしても計算が複雑になります.

2つ目は, 「条件付き極値となる必要条件」の定理を用いる方法です.

定理. 

2 変数関数 \phi(x, y), f(x, y)C^1 級 (つまり, 変数 x, y のそれぞれについて 1 回微分可能で, その導関数が連続) のとき,

条件 \phi(x, y)=0 のもとでの関数 f(x, y)(x, y)=(x_0, y_0) で極値をとる

\Leftrightarrow

\operatorname{grad}\phi(x_0, y_0)=0

または

\operatorname{grad} f(x_0, y_0)=\lambda\operatorname{grad}\phi(x_0, y_0) となる実数 \lambda が存在する.

ここで, \operatorname{grad}勾配といって,

\begin{equation*} \operatorname{grad}\phi = \left(\begin{array}{c}\frac{\partial\phi}{\partial x}\\ \frac{\partial\phi}{\partial y}\end{array}\right) \end{equation*}

というベクトルを表します.

解答例.

1. 変数を減らす方法

まず, 条件式

\begin{equation*} x^3+\frac{\sqrt{2}}{12}y^3=1 \end{equation*}

より,

\begin{equation*} x = \sqrt[3]{1-\frac{\sqrt{2}}{12}y^3} \end{equation*}

これを S の式に代入すると,

\begin{eqnarray*} S &=& 6x^2+\sqrt{3}y^2\\ &=& 6\left(1-\frac{\sqrt{2}}{12}y^3\right)^{\frac{2}{3}}+\sqrt{3}y^2 \end{eqnarray*}

y で微分します.

\begin{eqnarray*} \frac{dS}{dy} &=& 4\left(1-\frac{\sqrt{2}}{12}y^3\right)^{-\frac{1}{3}}\cdot \left(-\frac{\sqrt{2}}{4}y^2\right)+2\sqrt{3}y\\ &=& y\left\{-\sqrt{2}y\left(1-\frac{\sqrt{2}}{12}y^3\right)^{-\frac{1}{3}}+2\sqrt{3}\right\} \end{eqnarray*}

\frac{dS}{dy} = 0 となる y(\neq 0)Y とおくと,

\begin{equation*} -\sqrt{2}Y\left(1-\frac{\sqrt{2}}{12}Y^3\right)^{-\frac{1}{3}}+2\sqrt{3} = 0 \end{equation*}

これを解くと,

\begin{equation*} Y = \sqrt[3]{3\sqrt{6}(\sqrt{3}-1)} \end{equation*}

ここで, \frac{dS}{dy} について調べたいので,

\[f(y)=y\left(1-\frac{\sqrt{2}}{12}y^3\right)^{-\frac{1}{3}}\]

とおくと,

\begin{eqnarray*} f^\prime(y) &=& \left(1-\frac{\sqrt{2}}{12}y^3\right)^{-\frac{1}{3}}\\ &\quad& \quad -\frac{1}{3}y\left(1-\frac{\sqrt{2}}{12}y^3\right)^{-\frac{4}{3}}\cdot\left(-\frac{\sqrt{2}}{4}y^2\right)\\ &=& \left(1-\frac{\sqrt{2}}{12}y^3\right)^{-\frac{4}{3}}\\ &>&0 \end{eqnarray*}

より, f(y) は単調に増加するので, \frac{dS}{dy}y<Y で正, y>Y で負となります.

\begin{array}{|c||c|c|c|c|c|}\hline y & 0 & \cdots & Y & \cdots & \sqrt[3]{6\sqrt{2}}\\ \hline \frac{dS}{dy} & & + & 0 & - & \\ \hline S & & \nearrow & & \searrow & \\ \hline \end{array}

増減表は上のようになり, y=Y=\sqrt[3]{3\sqrt{6}(\sqrt{3}-1)}S は最大となる.

このとき, 体積比は,

\begin{eqnarray*} 1-\frac{\sqrt{2}}{12}Y^3 : \frac{\sqrt{2}}{12}Y^3 &=& \frac{\sqrt{3}-1}{2} : \frac{\sqrt{3}(\sqrt{3}-1)}{2}\\ &=& 1:\sqrt{3} \end{eqnarray*}

この問題の面白いところは, 表面積の和 S が最大となるとき, 2 つの立体の体積比と表面積比が両方とも 1:\sqrt{3} になるところです.

実は, どんな立体を, 3個以上もってきたとしても, 体積の和を一定として表面積の和を最大化すると, 各立体の体積比と表面積比は一致します.

2. 条件付き極値の定理を使う

定理の形に合わせて,

\begin{eqnarray*} \phi(x, y) &=& x^3+\frac{\sqrt{2}}{12}y^3-1\\ f(x, y) &=& 6x^2+\sqrt{3}y^2 \end{eqnarray*}

とおきます.

\phi(x, y)=0 のとき, x, y の少なくとも一方は 0 ではないので,

\begin{eqnarray*} \operatorname{grad}\phi(x, y) &=& (3x^2, \frac{\sqrt{2}}{4}y^2)\\ &\neq& 0 \end{eqnarray*}

(勾配は本来縦ベクトルですが, ここでは横ベクトルで表記します. )

よって,

\begin{equation*} \operatorname{grad}f(x, y)=\lambda\operatorname{grad}\phi(x, y) \end{equation*}

となる実数 \lambda が存在することになります.

各関数の勾配を計算すると

\begin{eqnarray*} (12x, 2\sqrt{3}y) &=& \lambda(3x^2, \frac{\sqrt{2}}{4}y^2)\\ \therefore \lambda &=& \frac{4}{x} = \frac{4\sqrt{6}}{y}\\ \therefore y &=& \sqrt{6}x. \end{eqnarray*}

\phi(x, y)=0 に代入して x について解けば,

x^3 = \frac{\sqrt{3}-1}{2}, y^3 = \sqrt{3}\cdot\frac{\sqrt{3}-1}{2}

となり, 比は 1:3 です.

この解き方を考えると, 表面積の比と体積の比が一致することも納得がいくのではないでしょうか.

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