京大2018年度理系第4問(確率)

この記事の所要時間: 530

問題. 

コインを n 回投げて複素数 z_1, z_2, \ldots, z_n を次のように定める.

(i) 1 回目に表が出れば z_1 = \dfrac{-1+\sqrt{3}i}{2} とし, 裏が出れば z_1 = 1 とする.

(ii) k = 2, 3, \ldots, n のとき, k 回目に表が出れば z_k = \dfrac{-1+\sqrt{3}i}{2}z_{k-1} とし, 裏が出れば z_k = \overline{z_{k-1}} とする. ただし, \overline{z_{k-1}}z_{k-1} の共役な複素数である.

このとき, z_n=1 となる確率を求めよ.

京大の問題では定番の, 求めるべき確率以外にも確率を表す変数をおいて, 漸化式を立てて解く問題です. このパターンの問題は過去にもいくつかありました.

—>2014年度理系第2問

2015年度理系第6問

漸化式が立てられれば, 後は変数の消去をして, 隣接2項間の漸化式を解くだけです.

解答例.

\alpha=\dfrac{-1+\sqrt{3}i}{2} とおくと,

\alpha^2 = \dfrac{-1-\sqrt{3}i}{2}=\overline{\alpha}

\alpha^3=1

なので, z_k\,(k=1, 2, \ldots, n) のとりうる値は 1, \alpha, \overline{\alpha} のいずれかになります.

では, z_k=1, \alpha, \overline{\alpha} となる確率をそれぞれ p_k, q_k, r_k とおきます.

z_1 は確率\dfrac{1}{2}\alpha または \alpha なので,

p_1 = \dfrac{1}{2}, q_1 = \dfrac{1}{2}, r_1=0

です.

k=2, 3, \ldots, n に対して,

z_{k-1}=1 のとき

\alpha z_{k-1}=\alpha, \overline{z_{k-1}}=1 なので, 確率 \dfrac{1}{2}z_k=\alpha または z_k = 1.

z_{k-1}=\alpha のとき

\alpha z_{k-1}=\overline{\alpha}, \overline{z_{k-1}}=\overline{\alpha} なので, 確率 1 で z_k=\overline{\alpha}.

z_{k-1}=\overline{\alpha} のとき

\alpha z_{k-1}=1, \overline{z_{k-1}}=\alpha なので, 確率 \dfrac{1}{2}z_k=1 または z_k = \alpha.

よって, 次のような漸化式が立てられます.

\begin{align*} \left\{\begin{array}{ll} p_k &= \dfrac{1}{2}(p_{k-1}+r_{k-1})\\ q_k &= \dfrac{1}{2}(p_{k-1}+r_{k-1})\\ r_k &= q_{k-1} \end{array}\right. \end{align*}

この漸化式から, k\geqq 2 に対して, p_k = q_k が成り立つので,

k=1, 2, \ldots, n-2 に対して

\begin{align*} p_{k+2} &= \dfrac{1}{2}(p_{k+1}+q_{k})\\ &= \dfrac{1}{2}(p_{k+1}+p_k) \end{align*}

後は漸化式を解くだけです.

変形すると,

\begin{align*} p_{k+2}-p_{k+1}=-\dfrac{1}{2}(p_{k+1}-p_k) \end{align*}

数列 \{p_{k+1}-p_k\} は初項が p_2-p_1 = \dfrac{1}{2}\left(\dfrac{1}{2}+0\right)-\dfrac{1}{2}=-\dfrac{1}{4}, 公比が -\dfrac{1}{2} の等比数列なので,

\begin{align*} p_{k+1} - p_k &= -\dfrac{1}{4}\left(-\dfrac{1}{2}\right)^{k-1}\\ &= -\left(-\dfrac{1}{2}\right)^{k+1} \end{align*}

よって,

\begin{align*} p_n &= p_1 + \sum_{k=1}^{n-1} (p_{k+1}-p_k)\\ &= \dfrac{1}{2} + \sum_{k=1}^{n-1} -\left(-\dfrac{1}{2}\right)^{k+1}\\ &= \dfrac{1}{2} -\dfrac{1}{4}\cdot \dfrac{1-(-\frac{1}{2})^{n-1}}{1+\frac{1}{2}}\\ &= \dfrac{1}{2}-\dfrac{1}{6}\left\{1-\left(\-\dfrac{1}{2}\right)^{n-1}\right\}\\ &= \dfrac{1}{3} + \dfrac{1}{6}\left(-\dfrac{1}{2}\right)^{n-1}\\ &= \dfrac{1}{3}\left\{1-\left(-\dfrac{1}{2}\right)^n\right\} \end{align*}

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