単位円に内接する正多角形(2)

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単位円に内接する正多角形(2)

以前の記事で, 単位円に内接する正多角形のもつ面白い性質として, 次のようなものを紹介しました. (詳しくはこちら)

定理. 

単位円に内接する正 n 角形のある頂点から, 他の (n-1) 個の頂点への距離の積は n .

(このときは, この定理を示すために Vandermonde行列を使ったため, 牛刀割鶏(小さいことを処理するのに大げさなものを持ち出してくる, という意味だそうです) であるという指摘を受けてしまいました. 別の示し方も考えてみます. )

今回は, 単位円に内接する正多角形の性質第2弾です.

定理. 

単位円に内接する正 n 角形 \mathrm A_0,a_1,\ldots,A_{n-1} について,

\begin{align*} G_1&=\{2k-1\mid k\in\mathbb{N}, 1\leq 2k-1\leq n-1\}\\ G_2&= \{2k\mid k\in\mathbb{N}, 1\leq 2k\leq n-1\} \end{align*}

とするとき,

\begin{align*} \sum_{j\in G_1} \overline{\mathrm{A_0A_j}}^2&=n\\ \sum_{j\in G_2} \overline{\mathrm{A_0A_j}}^2&=n. \end{align*}

つまり, 1つの頂点と, それ以外の頂点から1つおきに取ってきた頂点との距離の平方の和が n になる.

例.

いくつか例をみてみましょう.

・正三角形の場合

単位円に内接する正三角形の1辺の長さは \sqrt{3} なので,

\overline{\mathrm{A_0A_1}}^2=(\sqrt{3})^2=3.

・正方形(正四角形)の場合

単位円に内接する正方形の1辺の長さは \sqrt{2}, 対角線の長さが 2 なので,

\overline{\mathrm{A_0A_1}}^2+\overline{\mathrm{A_0A_3}}^2=(\sqrt{2})^2+(\sqrt{2})^2=4.

\overline{\mathrm{A_0A_2}}^2=2^2=4.

定理の証明.

ではさっそく証明していきます.

まず補題として, 三角関数の和の公式を用意します.

補題1. (角度が等差数列の三角関数の和)

\begin{align*} \sum_{k=0}^n \sin(\phi+k\alpha) &= \frac{1}{\sin(\alpha/2)} \sin\left(\frac{n+1}{2}\alpha\right)\sin\left(\phi+\frac{n\alpha}{2}\right)\\ \sum_{k=0}^n \cos(\phi+k\alpha) &= \frac{1}{\sin(\alpha/2)}\sin\left(\frac{n+1}{2}\alpha\right)\cos\left(\phi+\frac{n\alpha}{2}\right) \end{align*}

この補題は, サイン, コサインの和積の公式をうまく使うと n に関する帰納法で示すことができます.

例えば, サインの方だと, n=0 では成り立ち, n=m で成り立つと仮定すると,

\begin{align*} \sum_{k=0}^{m+1}\sin(\phi+k\alpha) &= \frac{1}{\sin(\alpha/2)} \sin\left(\frac{m+1}{2}\alpha\right)\sin\left(\phi+\frac{m\alpha}{2}\right)\\ &\quad\quad+\sin\left(\phi+(m+1)\alpha\right)\\ &= \frac{1}{\sin(\alpha/2)} \left\{\sin\left(\frac{m+1}{2}\alpha\right)\sin\left(\phi+\frac{m\alpha}{2}\right)\right.\\ &\quad\quad \left.+\sin\left(\frac{\alpha}{2}\right)\sin\left(\phi+(m+1)\alpha\right)\right\}\\ &= \frac{1}{\sin(\alpha/2)}\left(-\frac{1}{2}\right)\left\{\left(\cos(\phi+(m+1/2)\alpha)-\cos(\phi-\alpha/2)\right)\right.\\ &\quad\quad\left.+\left(\cos(\phi+(m+3/2)\alpha)-\cos(\phi+(m+1/2)\alpha\right)\right\}\\ &= \frac{1}{\sin(\alpha/2)}\left(-\frac{1}{2}\right)\left\{\cos(\phi+(m+3/2)\alpha)-\cos(\phi-\alpha/2)\right\}\\ &= \frac{1}{\sin(\alpha/2)}\sin\left(\frac{m+2}{2}\alpha\right)\sin\left(\phi+\frac{m+1}{2}\alpha\right). \end{align*}

コサインの方も同様にして示すことができます.

では, 定理の証明をします.

複素平面上で考えて, 点 \mathrm A_je^{\frac{2j\pi}{n}i} で表される点とします(j=0, 1, \ldots, n-1).

すると,

\begin{align*} \overline{\mathrm{A_0A_j}}^2 &= \left|1-e^{\frac{2j\pi}{n}i}\right|^2\\ &= \left(1-e^{\frac{2j\pi}{n}i}\right)\left(1-e^{-\frac{2j\pi}{n}i}\right)\\ &= 2-e^{\frac{2j\pi}{n}i}-e^{-\frac{2j\pi}{n}i}\\ &= 2-2\cos{\frac{2j\pi}{n}}. \end{align*}

では, n が偶数のときと奇数のときでそれぞれ考えていきます.

(i) n=2m(n が偶数)のとき

j=1, 3, \ldots, 2m-1k=0, 1, \ldots, m-1 を用いて j=2k+1 と書け,

\begin{align*} \sum_{j\in G_1} \overline{\mathrm{A_0A_j}}^2 &= \sum_{k=0}^{m-1} \left(2-2\cos\frac{2(2k+1)\pi}{n}\right)\\ &= 2m-2\sum_{k=0}^{m-1} \cos\left(\frac{2}{n}\pi+k\cdot\frac{4\pi}{n}\right)\\ &= n-2\cdot\frac{1}{\sin(2\pi/n)}\left\{\sin\left(\frac{m}{2}\cdot\frac{4\pi}{n}\right)\cos\left(\frac{2}{n}\pi+\frac{m-1}{2}\cdot\frac{4\pi}{n}\right)\right\}\\ &= n. \end{align*}

j\in G_2 の場合も同様にして示せます.

(ii) n=2m-1 (n が奇数)のときも, 同様にすると示すことができます.

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