徳島大学2005年度 (相加相乗平均の不等式の別証明)

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相加相乗平均の別証明

今回は, 2005年度に徳島大学で出題された, 相加相乗平均の不等式の証明を紹介します.

問題. 

\(n\) は自然数とする.

(1) \(A\) を正の実数とし, 関数

\[f(x) = \left(\dfrac{A+x}{n+1}\right)^{n+1}-\left(\dfrac{A}{n}\right)^nx\]

を考える. \(x>0\) のとき \(f(x)\geqq 0\) が成り立つことを示せ.

(2) \(a_1>0, a_2>0, \ldots, a_n>0\) とする. 次の不等式が成り立つことを数学的帰納法によって証明せよ.

\[\left(\dfrac{a_1+a_2+\cdots+a_n}{n}\right)^n\geqq a_1a_2\cdots a_n\]

相加相乗平均の不等式については様々な証明方法があり, 下のリンク先で 2 通りの証明を紹介しています.

—-> 「(相加平均)≧(相乗平均)≧(調和平均)

上の問題の解答例 (相加相乗平均の証明)

上の問題の誘導に従った相加相乗平均の証明を紹介します.

まず (1) の, \(x>0\) のとき \(f(x)\geqq 0\) を示します.

\(f(x)\) を \(x\) で微分すると,

\begin{align*}
f^\prime(x) &= (n+1)\left(\dfrac{A+x}{n+1}\right)^n\cdot\frac{1}{n+1}-\left(\dfrac{A}{n}\right)^n\\
&= \left(\dfrac{A+x}{n+1}\right)^n – \left(\dfrac{A}{n}\right)^n
\end{align*}

\(f^\prime(x)=0\) となるとき, \(\dfrac{A+x}{n+1}=\dfrac{A}{n}\) より \(x=\dfrac{A}{n}\) であり, \(f(x)\) の増減表は下のようになる.

よって, \(f(x)\) は \(x=A/n\) で最小値 0 をとる, つまり \(f(x)>0\).

ではここから, 数学的帰納法を用いて相加相乗平均の関係を示していきます.

\begin{align}\left(\dfrac{a_1+a_2+\cdots+a_n}{n}\right)^n\geqq a_1a_2\cdots a_n\tag{\(\ast\)}\end{align}

とおきます.

[1] \(n=1\) のとき

\[(左辺)=a_1, \quad (右辺)=a_1\]

なので, \((\ast)\) は成立する.

[2] \(n=k\) のとき \((\ast)\) が成立すると仮定すると,

\begin{align}\left(\dfrac{a_1+a_2+\cdots+a_k}{k}\right)^k\geqq a_1a_2\cdots a_k. \tag{I}\end{align}

ここで, \(A=a_1+a_2+\cdots+a_k(>0)\) とおくと, (I)式は

\begin{align}\left(\frac{A}{k}\right)^k\geqq a_1a_2\cdots a_k \end{align}

と書け, 両辺に \(a_{k+1}\) を掛けると

\begin{align}\left(\frac{A}{k}\right)^ka_{k+1}\geqq a_1a_2\cdots a_{k+1} \tag{II}\end{align}

一方, (1) で示した不等式において \(x=a_{k+1}(>0)\) とすることで,

\begin{align}\left(\frac{A+a_{k+1}}{k+1}\right)^{k+1}\geqq \left(\frac{A}{k}\right)^ka_{k+1} \tag{III}\end{align}

(II), (III) から,

\begin{align*}\left(\frac{A+a_{k+1}}{k+1}\right)^{k+1}\geqq a_1a_2\cdots a_{k+1}\end{align*}

つまり,

\begin{align*}\left(\frac{a_1+a_2+\cdots+a_{k+1}}{k+1}\right)^{k+1}\geqq a_1a_2\cdots a_{k+1}\end{align*}

よって, \(n=k+1\) のときも \((\ast)\) は成立する.

従って, [1], [2] よりすべての自然数 \(n\) について

\[\left(\dfrac{a_1+a_2+\cdots+a_n}{n}\right)^n\geqq a_1a_2\cdots a_n\]

が成立する.

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