自作問題15 (数学的帰納法)

この記事の所要時間: 650

問題.

自作問題の 15 番です. 数学的帰納法に分類していますが, この分類でいいのか怪しいです…

問題. 

\(a_n=(\sqrt{s}+\sqrt{s+t})^n\), \(s, t\) は自然数, \(n=1, 2, \ldots\) とする.

任意の自然数 \(n\) に対して,

\(a_n=\sqrt{s_n}+\sqrt{s_n+t^n}\)

を満たすような自然数 \(s_n\) が存在することを示せ.

例えば, \(s=2, t=1\) で

\(a_n = (\sqrt{2}+\sqrt{3})^n\)

のとき,

\begin{align*}
a_2 &= 5+2\sqrt{6}\\
&= \sqrt{24}+\sqrt{25}\\
a_3 &= 11\sqrt{2}+9\sqrt{3}\\
&= \sqrt{242}+\sqrt{243}\\
a_4 &= 49 + 20\sqrt{6}\\
&= \sqrt{2400}+\sqrt{2401}
\end{align*}

のようになっています.

解答例.

\(a_n = (\sqrt{s}+\sqrt{s+t})^n\)

は, 展開して整理すると

\(a_n = \alpha_n+\beta_n\sqrt{s}+\gamma_n\sqrt{s+t}+\delta_n\sqrt{s(s+t)}\)

\(\alpha_n, \beta_n, \gamma_n, \delta_n\in\mathbb{N}\) という形に書けます.

\(\alpha_1=0, \beta_1=1, \gamma_1=1, \delta_1=0\)です.

このとき,
\begin{align*}
a_{n+1} &= (\sqrt{s}+\sqrt{s+t})a_n\\
&= (\sqrt{s}+\sqrt{s+t})\left(\alpha_n+\beta_n\sqrt{s}+\gamma_n\sqrt{s+t}+\delta_n\sqrt{s(s+t)}\right)\\
&= (\beta_ns+\gamma_n(s+t))+(\alpha_n+\delta_n(s+t))\sqrt{s}\\
&\quad\quad+(\alpha_n+\delta_ns)\sqrt{s+t}+(\beta_n+\gamma_n)\sqrt{s(s+t)}
\end{align*}

より,

\begin{align*}
\alpha_{n+1} &= \beta_ns+\gamma_n(s+t)\\
\beta_{n+1} &= \alpha_n+\delta_n(s+t)\\
\gamma_{n+1} &= \alpha_n+\delta_ns \tag{1} \\
\delta_{n+1} &= \beta_n+\gamma_n
\end{align*}

このとき,

\begin{align*}
\def\coloneqq{\mathrel{\mathop:}=}
\tilde{a}_n &\coloneqq (\sqrt{s}-\sqrt{s+t})^n\\
&= \alpha_n+\beta_n\sqrt{s}-\gamma_n\sqrt{s+t}-\delta_n\sqrt{s(s+t)}
\end{align*}

となることを帰納法で示すことができます.

すると,

\begin{align*}
a_n &= \alpha_n+\beta_n\sqrt{s}+\gamma_n\sqrt{s+t}+\delta_n\sqrt{s(s+t)}\\
&= \sqrt{\left(\alpha_n+\beta_n\sqrt{s}\right)^2}+\sqrt{\left(\gamma_n\sqrt{s+t}+\delta_n\sqrt{s(s+t)}\right)^2}
\end{align*}

で,

\begin{align*}
\left|\left(\alpha_n+\beta_n\sqrt{s}\right)^2-\left(\gamma_n\sqrt{s+t}+\delta_n\sqrt{s(s+t)}\right)^2\right| &= \left|a_n\tilde{a}_n\right|\\
&= \left|\left((\sqrt{s}+\sqrt{s+t})(\sqrt{s}-\sqrt{s+t})\right)^n\right|\\
&= \left|\left(s-(s+t)\right)^n\right|\\
&= t^n
\end{align*}

が成り立つので, \(\left(\alpha_n+\beta_n\sqrt{s}\right)^2\) と \(\left(\gamma_n\sqrt{s+t}+\delta_n\sqrt{s(s+t)}\right)^2\) の小さい方を \(s_n\) とおけば, \(a_n = \sqrt{s_n}+\sqrt{s_n+t^n}\) となります.

後は, \(s_n\) が自然数になっているかどうかを確認します.

\(\alpha_1=\delta_1=0\) と, (1) から, 帰納的に

\(n\) が奇数のとき \(\alpha_n=\delta_n=0\),

\(n\) が偶数のとき \(\beta_n=\gamma_n=0\)

となり, (はじめに書いた \(s=2, t=1\)の例を見てもこうなっています)

どちらの場合も \(s_n\) は自然数となります.

少し解説?

まず, 展開すると

\(a_n = \alpha_n+\beta_n\sqrt{s}+\gamma_n\sqrt{s+t}+\delta_n\sqrt{s(s+t)}\)

\(\alpha_n, \beta_n, \gamma_n, \delta_n\in\mathbb{N}\)

の形で書けることは容易にわかると思います.

具体的な例で計算してみると, 実際には 4 項のうち 2 項は係数が 0 になり消えることが分かります.

(上に書いた例をもう一度載せておきます)

\(s=2, t=1\)

\(a_n = (\sqrt{2}+\sqrt{3})^n\)

のとき,

\begin{align*}
a_2 &= 5+2\sqrt{6}\\
&= \sqrt{24}+\sqrt{25}\\
a_3 &= 11\sqrt{2}+9\sqrt{3}\\
&= \sqrt{242}+\sqrt{243}\\
a_4 &= 49 + 20\sqrt{6}\\
&= \sqrt{2400}+\sqrt{2401}
\end{align*}

ということは, 残る 2 項について, 係数もルートの中に入れたときに, その部分の差が \(t^n\) になることを示せば良いことになります.

このように, はじめから一般の \(s, t\) について考えるのではなく, 具体例から考えることで証明の方法を見つけることができる場合があります.

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