対数と区分求積法(自作問題1-(6))

この記事の所要時間: 638

問題.

自作問題集の1-(6), 区分求積法の問題の解答, 解説をしていきます.

問題. 

自然数\(n\)に対して

\(\displaystyle a_n=\frac{1}{n}\sqrt[n]{1\cdot 3\cdots(2n-1)}\)

とおくとき, 極限\(\displaystyle \lim_{n\to\infty} a_n\)を求めよ.

区分求積法の問題が自作問題に多いのは, 私が区分求積法好きだからです.

さて, 前回の問題(1-(5))同様に, 両辺の自然対数をとって, \(\displaystyle \lim_{n\to\infty} \log{a_n}\)を計算していきます.

しかし, 今回の問題では\(n\)乗根の中(\(1\cdot 3\cdots(2n-1)\))を上手く変形しなければ区分求積法が使えないようになっています. その変形に気付けるかがポイントとなっています.

解答例.

まず\(n\)乗根の中を計算して,

\begin{align*}
1\cdot 3\cdots(2n-1) &= \frac{1\cdot 2\cdot 3\cdots (2n)}{2\cdot 4\cdots (2n)}\\
&= \frac{(2n)!}{2^nn!}\\
&= \frac{1}{2^n}\cdot (2n)(2n-1)\cdots(n+1)
\end{align*}

となるので,

\begin{align*}
\log{a_n} &= \log{\sqrt[n]{\frac{1}{n^n}1\cdot 3\cdots(2n-1)}}\\
&= \frac{1}{n}\log\left\{\frac{1}{n^n}\cdot1\cdot3\cdots(2n-1)\right\}\\
&= \frac{1}{n}\log\left\{\frac{1}{n^n}\cdot\frac{1}{2^n}\cdot(2n)(2n-1)\cdots(n+1)\right\}\\
&= \frac{1}{n}\log\left\{\frac{1}{n^n}\cdot(2n)(2n-1)\cdots(n+1)\right\}-\log{2}\\
&= \frac{1}{n}\log\left(\frac{n+1}{n}\cdot\frac{n+2}{n}\cdots\frac{2n}{n}\right)-\log{2}\\
&= \frac{1}{n}\sum_{k=1}^{n}\log{\frac{n+k}{n}}-\log{2}\\
&= \frac{1}{n}\sum_{k=1}^{n}\log\left(1+\frac{k}{n}\right)-\log{2}
\end{align*}

よって,

\begin{align*}
\lim_{n\to\infty} \log{a_n} &= \lim_{n\to\infty} \left\{\frac{1}{n}\sum_{k=1}^{n} \log\left(1+\frac{k}{n}\right) -\log{2}\right\}\\
&= \int_{0}^{1} \log(1+x) dx – \log{2}\\
&= \Big[(1+x)\log(1+x)-x\Big]_{0}^{1} – \log{2}\\
&= 2\log{2} – 1 – \log{2}\\
&= \log{\frac{2}{e}}
\end{align*}

従って, 対数関数の連続性から,

\begin{align*}
\lim_{n\to\infty} a_n = \frac{2}{e}
\end{align*}

追記.

上の解答例のような変形に気付けなかった場合,

\begin{align*}
\log{a_n} &= \log\left(\frac{1}{n}\sqrt[n]{1\cdot 3\cdots(2n-1)}\right)\\
&= -\log{n}+\frac{1}{n}\log\{1\cdot 3\cdots(2n-1)\}\\
&= -\log{n}+\frac{1}{n}\sum_{k=1}^{n} \log(2k-1)\\
&= \frac{1}{n}\sum_{k=1}^{n} \left\{\log(2k-1)-\log{n}\right\}\\
&= \frac{1}{n}\sum_{k=1}^{n} \log{\frac{2k-1}{n}}
\end{align*}

のようになり, 区分求積法が使える形

\(\displaystyle \frac{1}{n}\sum_{k=1}^n f\left(\frac{k}{n}\right)\)

になりません.

追記の追記.

上の追記で, 変形に気付けなければ解けないと書きましたが, はさみうちの原理を使って解くことができるので, 説明しておきます.

\begin{align*}
\log{\frac{2k-2}{n}}<\log{\frac{2k-1}{n}}<\log{\frac{2k}{n}}
\end{align*}

であること(対数関数の単調増加性による)を用いて,

\begin{align*}
\frac{1}{n}\sum_{k=1}^n\log{\frac{2k-2}{n}}<\frac{1}{n}\sum_{k=1}^n\log{\frac{2k-1}{n}}<\frac{1}{n}\sum_{k=1}^n\log{\frac{2k}{n}}\\
\therefore \frac{1}{n}\sum_{k=0}^{n-1}\log{\frac{2k}{n}}<\frac{1}{n}\sum_{k=1}^n\log{\frac{2k-1}{n}}<\frac{1}{n}\sum_{k=1}^n\log{\frac{2k}{n}}
\end{align*}

\(n\to\infty\)とすればこの不等式の左右の項はともに

\begin{align*}
\int_0^1 \log{2x}\,dx
\end{align*}

に収束します(区分求積法).

この積分を計算すると,

\begin{align*}
\int_0^1 \log{2x}\,dx &= \Big[x\log{2x}-x\Big]_0^1\\
&= \log{2}-1\\
&= \log{\frac{2}{e}}
\end{align*}

(\(x=0\)において\(\log{2x}\)は定義されませんが, \(x\to +0\)のとき\(x\log{2x}\to 0\)なので, 形式的に\(0\log{2\cdot 0}=0\)とします. )

はさみうちの原理より

\begin{align*}
\frac{1}{n}\sum_{k=1}^n\log{\frac{2k-1}{n}}\to\log{\frac{2}{e}}
\end{align*}

と求まります.

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