コーシー・シュワルツの不等式とその利用

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コーシー・シュワルツの不等式とその利用

コーシー・シュワルツ(Cauchy-Schwartz)の不等式

・\((a^2+b^2)(x^2+y^2)\geqq (ax+by)^2\)

等号は\(a:x=b:y\)のときのみ.

・\((a^2+b^2+c^2)(x^2+y^2+z^2)\geqq(ax+by+cz)^2\)

等号は\(a:x=b:y=c:z\)のときのみ.

・\((a_1^2+a_2^2+\cdots+a_n^2)(x_1^2+x_2^2+\cdots+x_n^2)\geqq(a_1x_1+a_2x_2+\cdots+a_nx_n)^2\)

等号は\(a_1:x_1=a_2:x_2=\cdots=a_n:x_n\)のときのみ.

但し,\(a, b, c, x, y, z, a_1, \cdots, a_n, x_1, \cdots, x_n\)は実数.

和の記号を使って表すと,

\[ \left(\sum_{k=1}^{n} a_k^2\right)\left(\sum_{k=1}^{n} b_k^2\right)\geqq\left(\sum_{k=1}^{n} a_kb_k\right)^2\]

となります.

例題.

問. 

\(x^2+y^2=1\)を満たすように\(x, y\)を変化させるとき,\(2x+3y\)の取り得る最大値を求めよ.

このタイプの問題は普通は\(2x+3y=k\)とおいて,この式を直線の方程式と見なすことで,円\(x^2+y^2=1\)と交点を持つ状態で動かし,直線の\(y\)切片の最大値を求める,ということをします.

しかし, コーシー・シュワルツの不等式を使えば簡単に解けます.

コーシー・シュワルツの不等式より,

\begin{align}
(2^2+3^2)(x^2+y^2)\geqq (2x+3y)^2
\end{align}

ところで,\(x^2+y^2=1\)なので上の不等式の左辺は\(13\)となり,

\begin{align}
13\geqq(2x+3y)^2
\end{align}

よって,

\begin{align}
2x+3y \leqq \sqrt{13}
\end{align}

となり最大値は\(\sqrt{13}\)となります.

コーシー・シュワルツの不等式の証明.

この不等式にはきれいな証明方法があるので紹介します.

(この方法以外にも,帰納法でも証明できます.それは別の記事で紹介します.)

任意の実数\(t\)に対して,

\begin{align}
f(t)=\sum_{k=1}^{n}(a_kt+b_k)^2\geqq 0
\end{align}

が成り立つ(実数の2乗は非負).

左辺を展開すると,

\begin{align}
\left(\sum_{k=1}^{n}a_k^2\right)t^2+2\left(\sum_{k=1}^{n}a_kb_k\right)t+\left(\sum_{k=1}^{n}b_k^2\right)\geqq 0
\end{align}

これが任意の\(t\)について成り立つので,\(f(t)=0\)の判別式を\(D\)とすると\(D/4\leqq 0\)が成り立ち,

\begin{align}
\left(\sum_{k=1}^{n}a_kb_k\right)^2-\left(\sum_{k=1}^{n}a_k^2\right)\left(\sum_{k=1}^{n}b_k^2\right)\leqq 0
\end{align}

よって,

\begin{align}
\left(\sum_{k=1}^{n} a_k^2\right)\left(\sum_{k=1}^{n} b_k^2\right)\geqq\left(\sum_{k=1}^{n} a_kb_k\right)^2
\end{align}

その他の形のコーシー・シュワルツの不等式

コーシー・シュワルツの不等式というと上で紹介したものが有名ですが,実はほかに以下のようなものがあります.

1. (複素数)

\(\displaystyle \left(\sum_{k=1}^{n} |\alpha_k|^2\right)\left(\sum_{k=1}^{n}|\beta_k|^2\right)\geqq\left|\sum_{k=1}^{n}\alpha_k\beta_k\right|^2\)

\(\alpha_k, \beta_k\)は複素数で,複素数の絶対値は,\(\alpha=a+bi\)に対して\(|\alpha|^2=a^2+b^2\).

2. (定積分)

\(\displaystyle \int_a^b \sum_{k=1}^n \left\{f_k(x)\right\}^2dx\cdot\int_a^b\sum_{k=1}^n \left\{g_k(x)\right\}^2dx\geqq\left\{\int_a^b\sum_{k=1}^n f_k(x)g_k(x)dx\right\}^2\)

但し,閉区間[a, b]で\(f_k(x), g_k(x)\)は連続かつ非負,また,\(a<b\).

これらも上の証明方法で同様に示すことができます.

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