名古屋大2016年度文系第3問

この記事の所要時間: 537

問題.

正の整数 \(n\) に対して, その (1 と自分自身も含めた) すべての正の約数の和を \(s(n)\) とかくことにする. このとき, 次の問いに答えよ.

(1) \(k\) を正の整数, \(p\) を 3 以上の素数とするとき, \(s(2^kp)\) を求めよ.

(2) \(s(2016)\) を求めよ.

(3) 2016 の正の約数 \(n\) で, \(s(n)=2016\) となるものをすべて求めよ.

正の約数の和に関する問題です.

解答例.

(1).

\(2^kp\) の約数をすべて書き出すと,

\begin{align*}
1, 2, 2^2, \ldots, 2^k, p, 2p, 2^2p, \ldots, 2^kp
\end{align*}

となるので, 和を求めると,

\begin{align*}
s(2^kp) &= 1+2+2^2+\cdots+2^k\\
&\quad + p+2p+2^2p+\cdots+2^kp\\
&= (1+2+2^2+\cdots+2^k)(1+p)\\
&= (2^{k+1}-1)(p+1)
\end{align*}

となります.

(2).

2016 を素因数分解すると,

\begin{align*}
2016 = 2^5\times 3^2\times 7
\end{align*}

なので,

\begin{align*}
s(2016) &= (1+2+2^2+\cdots+2^5)(1+3+3^2)(1+7)\\
&= 63\times 13\times 8\\
&= 6552
\end{align*}

となります.

(3).

2016 の約数は

\begin{align*}
n = 2^a\times 3^b\times 7^c
\end{align*}

(\(0\leqq a\leqq 5, 0\leqq b\leqq 2, 0\leqq c\leqq 1\))

と書けます.

このとき, \(n\) の正の約数の和は

\begin{align}
s(n) = (1+2+\cdots+2^a)(1+\cdots+3^b)(1+\cdots+7^c)
\end{align}

となります.

ここで,

\begin{align*}
1+2+\cdots+2^a = 2^{a+1}-1
\end{align*}

は奇数なので,

式 (1) が2016になるには, 残りの部分 (\((1+\cdots+3^b)(1+\cdots+7^c)\)) が \(2^5\) の倍数になる必要があります.

\(b = 0, 1, 2\) のとき \(1+\cdots+3^b\) の値はそれぞれ

\begin{align*}
1, \,1+3 = 4, \, 1+3+9 = 13
\end{align*}

また, \(c = 0, 1\) のとき \(1+\cdots+7^c\) の値はそれぞれ

\begin{align*}
1, \, 1+7 = 8
\end{align*}

になります.

すると,

\((1+\cdots+3^b)(1+\cdots+7^c)\) が \(2^5\) の倍数になる組合せは, \(b = c = 1\)のみであることが分かります.

このとき,

\begin{align*}
s(n) &= (2^{a+1}-1)\cdot 4\cdot 8\\
&= 32(2^{a+1}-1)
\end{align*}

で, これが \(2016 = 2^5\times3^2\times 7 = 32\cdot 63\) と一致するのは \(a=5\) のときです.

したがって, \(s(n)=2016\) となる 2016 の約数 \(n\) は,

\begin{align*}
n &= 2^5\times 3\times 7\\
&= 672
\end{align*}

解説.

正の約数の和について

自然数 \(n\) が

\begin{align*}
n = p_1^{q_1}p_2^{q_2}\cdots p_N^{q_N}
\end{align*}

と素因数分解できるとき, (\(p_1, \ldots, p_N\) は異なる素数)

その正の約数の和 \(s(n)\) は

\begin{align*}
s(n) &= (1+p_1+\cdots+p_1^{q_1})(1+p_2+\cdots+p_2^{q_2})\\
&\quad \cdots(1+p_N+\cdots+p_N^{q_N})
\end{align*}

で求まります.

(1)は具体的な数値の計算ではないので, 一応正の約数を書き出して足しましたが, (2) ではこの公式を当てはめています.

2016 は完全数のなりそこね?

(おそらく) この問題の背景にあるのは, 完全数です.

完全数というのは, 正の約数の和がその数自身のちょうど2倍になる整数のことをいいます.

たとえば, 6, 28, 496 などが挙げられますが, これらはすべて

\begin{align*}
P_n = 2^{n-1}(2^n-1)
\end{align*}

の形をしています (6, 28, 496 ではそれぞれ \(n = 2, 3, 5\)).

一方, \(2016 = P_6\) は問題の(2) からわかるように, 完全数ではありません.

これは, \(2^n-1\) の部分が素数になっていない (\(2^6-1=63=3^2\cdot 7\)) からなのです.

\(2^n-1\) の部分が素数であれば完全数になることは, 上の問題の(1)から簡単に確かめられます.

(詳しくは「2016と28の共通点」を見てください. )

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