京大2018年度理系第4問(確率)

この記事の所要時間: 534

問題. 

コインを \(n\) 回投げて複素数 \(z_1, z_2, \ldots, z_n\) を次のように定める.

(i) 1 回目に表が出れば \(z_1 = \dfrac{-1+\sqrt{3}i}{2}\) とし, 裏が出れば \(z_1 = 1\) とする.

(ii) \(k = 2, 3, \ldots, n\) のとき, \(k\) 回目に表が出れば \(z_k = \dfrac{-1+\sqrt{3}i}{2}z_{k-1}\) とし, 裏が出れば \(z_k = \overline{z_{k-1}}\) とする. ただし, \(\overline{z_{k-1}}\) は \(z_{k-1}\) の共役な複素数である.

このとき, \(z_n=1\) となる確率を求めよ.

京大の問題では定番の, 求めるべき確率以外にも確率を表す変数をおいて, 漸化式を立てて解く問題です. このパターンの問題は過去にもいくつかありました.

—>2014年度理系第2問

2015年度理系第6問

漸化式が立てられれば, 後は変数の消去をして, 隣接2項間の漸化式を解くだけです.

解答例.

\(\alpha=\dfrac{-1+\sqrt{3}i}{2}\) とおくと,

\(\alpha^2 = \dfrac{-1-\sqrt{3}i}{2}=\overline{\alpha}\)

\(\alpha^3=1\)

なので, \(z_k\,(k=1, 2, \ldots, n)\) のとりうる値は \(1, \alpha, \overline{\alpha}\) のいずれかになります.

では, \(z_k=1, \alpha, \overline{\alpha}\) となる確率をそれぞれ \(p_k, q_k, r_k\) とおきます.

\(z_1\) は確率\(\dfrac{1}{2}\) で \(\alpha\) または \(\alpha\) なので,

\(p_1 = \dfrac{1}{2}, q_1 = \dfrac{1}{2}, r_1=0\)

です.

\(k=2, 3, \ldots, n\) に対して,

・ \(z_{k-1}=1\) のとき

\(\alpha z_{k-1}=\alpha, \overline{z_{k-1}}=1\) なので, 確率 \(\dfrac{1}{2}\) で \(z_k=\alpha\) または \(z_k = 1\).

・ \(z_{k-1}=\alpha\) のとき

\(\alpha z_{k-1}=\overline{\alpha}, \overline{z_{k-1}}=\overline{\alpha}\) なので, 確率 1 で \(z_k=\overline{\alpha}\).

・\(z_{k-1}=\overline{\alpha}\) のとき

\(\alpha z_{k-1}=1, \overline{z_{k-1}}=\alpha\) なので, 確率 \(\dfrac{1}{2}\) で \(z_k=1\) または \(z_k = \alpha\).

よって, 次のような漸化式が立てられます.

\begin{align*}
\left\{\begin{array}{ll}
p_k &= \dfrac{1}{2}(p_{k-1}+r_{k-1})\\
q_k &= \dfrac{1}{2}(p_{k-1}+r_{k-1})\\
r_k &= q_{k-1}
\end{array}\right.
\end{align*}

この漸化式から, \(k\geqq 2\) に対して, \(p_k = q_k\) が成り立つので,

\(k=1, 2, \ldots, n-2\) に対して

\begin{align*}
p_{k+2} &= \dfrac{1}{2}(p_{k+1}+q_{k})\\
&= \dfrac{1}{2}(p_{k+1}+p_k)
\end{align*}

後は漸化式を解くだけです.

変形すると,

\begin{align*}
p_{k+2}-p_{k+1}=-\dfrac{1}{2}(p_{k+1}-p_k)
\end{align*}

数列 \(\{p_{k+1}-p_k\}\) は初項が \(p_2-p_1 = \dfrac{1}{2}\left(\dfrac{1}{2}+0\right)-\dfrac{1}{2}=-\dfrac{1}{4}\), 公比が \(-\dfrac{1}{2}\) の等比数列なので,

\begin{align*}
p_{k+1} – p_k &= -\dfrac{1}{4}\left(-\dfrac{1}{2}\right)^{k-1}\\
&= -\left(-\dfrac{1}{2}\right)^{k+1}
\end{align*}

よって,

\begin{align*}
p_n &= p_1 + \sum_{k=1}^{n-1} (p_{k+1}-p_k)\\
&= \dfrac{1}{2} + \sum_{k=1}^{n-1} -\left(-\dfrac{1}{2}\right)^{k+1}\\
&= \dfrac{1}{2} -\dfrac{1}{4}\cdot \dfrac{1-(-\frac{1}{2})^{n-1}}{1+\frac{1}{2}}\\
&= \dfrac{1}{2}-\dfrac{1}{6}\left\{1-\left(-\dfrac{1}{2}\right)^{n-1}\right\}\\
&= \dfrac{1}{3} + \dfrac{1}{6}\left(-\dfrac{1}{2}\right)^{n-1}\\
&= \dfrac{1}{3}\left\{1-\left(-\dfrac{1}{2}\right)^n\right\}
\end{align*}

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